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Die Galerie

列車
シュトゥットガルトで出発を待つICE-T
往年の名車を見てから市内に戻り、シュトゥットガルトへ来る時の夜行列車で、早朝に煙草を吹かしながら言葉を交わしたロシア人が「小さな街で、駅から出たらあっという間に“街は見た!”という感じで、ミュンヘン辺りまで足を伸ばした方が愉しいと思うな…」と言っていたのを思い出していた。この街も典雅な雰囲気で、なかなか悪くはないのだが…
ベルリンで何となく南下してみようとして、夜行列車の空席状況を駅で訊ねると、クリスマスの休日を挟んで込み合っているとのことで、思いつきでやって来たシュトゥットガルトだった。ベルリンで北上する行程を選んでも構わなかったのだが、アルビを訪ねたいという思いが断ち切れず、ドイツ南部からスイスかイタリアへ抜け、そこからフランス南西部を目指す行程が頭を過ぎった。こういうことをするなら、パリからトゥールーズ方面へ南下してしまえば早かったのだ…北駅で見た列車に端を発した衝動(*“漂泊の航跡”参照)が回り道をさせてしまった…
そんなことを思いながら駅構内に入り、スイス方面への列車を見つけてホームに近付き、また衝動が私を貫いた。「万障繰り合わせの上、これには乗らなくては!」と考えている自分に気付いて苦笑いをする…
写真のICE-Tは、ドイツが誇るICEの一連の車両としては新しい部類に入るもので、カーブ区間での減速を抑えるため、車体が傾く“振り子”技術が導入されている。日本の比較的新しい列車ではお馴染みの技術だ。欧州では、私が承知している-実際に乗車した-範囲ではイタリアやスウェーデンで、この技術を導入した列車が活躍している。
そして私は雪煙を上げて走るこの列車でスイスに入り、その足でフランス南西部を目指した…


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