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Die Galerie

鋼鉄の貴婦人
パリ エッフェル塔
パリと聞くと、華やかさと人生の陰影が表裏になっている、何かしら独特な空気がある都を思い浮かべる。ここの地を踏み、その空気に触れてみたいと初めて思ったのは何時だったか思い出せないが、具体的にパリへ辿り着こうという考えが初めて浮かんだのは94年4月のことだった。モスクワからスカンジナヴィアを経てオランダに入った時、「このまま進めば…」と思い立ったのが最初だった。それ以来、“漂泊の航跡”でも触れているが、何度も辿り着こうと試して-素直にドゴール空港へ飛べば良かったのかもしれないが、何故かそういう考えが浮かばなかった…-は辿り着かず、99年12月に漸く辿り付いた。
フランクフルトからの夜行列車で未だ薄暗いパリに入り、地下鉄と徒歩で街を散策した。北駅から乗り込んだ地下鉄でコンコルド広場に出ると、遠くにエッフェル塔が見えた。塔を間近で見たいと思い、シャンゼリゼを歩いた後、再び地下鉄に乗ってエッフェル塔を訪ねた。
多分世界中から集まっていると見受けられる来訪者が、塔へ上る入り口に長蛇の列を作っていた。敢えてそこには加わらなかった…
私は“鋼鉄の貴婦人”と呼ばれているここの足下から塔を見上げた。「確かロジャー・ムーア演じる007がここで立ち回りを…」と見ていた。暫くすると、エッフェル塔のミニチュアの土産品を売りたい連中が煩わしくなり、そこを立ち去った。
荷物を駅に預けてあり、丁度昼食時間も近いと思ったので、冬の淡い日差しを心地良く思いながら街を歩いて地下鉄に乗り、駅へ向かった。
駅には各地へ向かうTGVがズラリと並んでいて壮観だった。列の中に一際眼を引く深紅の列車があった。ベルギーやドイツなどへ向かう国際列車Thalysである。「これに乗りたい!」と思った。
気づいた時、私は車中にあった。たった半日のパリ…


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