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天使

初めてベルリンを訪ねたのは1996年10月のこと（*“漂泊の航跡”参照）だった。モスクワ時代のご近所さんを訪ねることが主要な目的だったが、当時、統一ドイツの新しい首都になることが確定して日も浅く、“建設ラッシュ”も話題になっていたし、歴史の様々な局面でその舞台となった街を見てみたかった。 早朝の、当時は“中央駅”（Hauptbahnhof ハウプトバーンホフ）と呼ばれていた現在の“東駅”（Ostbahnhof オストバーンホフ）に降り立ち、晩秋の遅めの夜明けの後、淡い光が差し込む中を移動し「今着いたぞ!!」と友人に電話して訪ね-迷惑と言えば迷惑な男だ…あの時は多分相手を叩き起こしていた…-、顔を出した後都心を散策した。 ベルリンは数百万人が蠢く巨大都市だが、その都心には小さな森の趣になっている公園もあり、何処となく文化的な感じもする… その初めてのベルリンで、実質的に最初に訪ねた名所がここである。勝利記念碑だ。この晩秋の青空は、初めてやって来た旅人に、頂上の天使が贈ってくれたものかもしれない、などと柄にも無いことを考えたりしていた…

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