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Die Galerie

ステンドグラス
ケルンの大聖堂のステンドグラス
例えば、「完成から50年を経た建造物」と聞けば、私は「旧いもの」と感じる。100年とか150年とでも耳にすれば、感心してしまう。自分自身は新興住宅地育ちで、育った家に引っ越した頃、周辺では住宅の建築工事が盛んに行われていた状況だった。自分の年齢より若い建物ばかり眺めて育ったようなところがある。更に言えば、北海道では100年の歴史を誇る建物を見つけるのは、早くから栄えた一部地域を除けば最初から難しい。
そんな感覚を持ち合わせてケルンの大聖堂を訪ねると、言葉を失う…最初に計画されて建築工事が始められ、永い中断期間も含めて、完成を祝う時点までに600年を要したというのである。14世紀とか15世紀から20世紀までの時間が、この大聖堂に刻まれているのである。この600年だが、14世紀前半は考えてみると日本では鎌倉時代の末期で、20世紀は飛行機が飛んだのだ。
何かよく判らない間にケルンに到着(*“漂泊の航跡”参照)し、駅でふと見上げると、現代の高層ビルのように巨大でありながら、それとは質感が異なる影が駅車内からも窺える。よく判らずに辿り着き、「ここからどうしようか?」という思い出行程を考えたりはしたが、不思議な質感の巨大な影には吸い寄せられた…
600年の時を刻んで閉じ込めた大聖堂の内部は、時間を旅する宇宙船を思わせた。カラフルなステンドグラスを通過した色付きの光が、暗い聖堂内を彩っていた…


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