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Die Galerie

国境の街
マーストリヒトの街角
オランダ、ベルギー、ドイツが交わる辺りにあるオランダの街がマーストリヒトである。国境の街ということになるが、何か緊張感のようなものがある訳でも何でもない。静かな地方都市である。旧くからの市街の他、新しく開いた地区にコンベンションセンターがあり、そこで催された国際会議でEUの統合を推進する条約が締結された。マーストリヒト条約である。
漂泊の航跡”で言及したが、ベルギー南部のリエージュから、自分の時間間隔としては稚内から豊富へ行くよりも短い時間で、気付いた時には国境を越えてしまっていた。欧州の列車では、国境を越える際にパスポートを改める係官が現れなくても、列車運行の管轄が変わると必ず車掌が検札に現れる。(駅に改札口が無く、車内で車掌が検札するのが欧州では普通。)ところがここでは運行時間が短いため、国境を越えた所で車掌が現れる暇が無かった。
そして辿り着いたマーストリヒトを散策した。マース河を利用した水運も盛んだった経過が窺われるが、恐らくここは一種の宿場としての歩みがあったような感じがした。物理的に、ここは空間を結ぶ街道の中にある訳だが、様々な年代と見受けられるものが渾然一体に共存している佇まいは、時間をも結びつけているようだった。
談笑が聞えるパブの前で、小さな子どもが時々店内を覗き込みながら、壁にもたれて通りを眺めている。この子の目線が捉えるものは何なのか…欧州の現代史に名を遺す結果となったこの街で出会った光景である…


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