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Die Galerie

アングル
ミュンヘンの夜
バイエルン王の都は、華麗で典雅な雰囲気を持っているが、クリスマスの飾り付けが行われる時期は、一際華やかである。殊にクリスマス市の時期は、これに賑やかさも加わる。夕方ともなれば人出が多く、ゆっくりと写真を撮ることはままならない。クリスマス市が終わると、賑やかなのは落ち着く。そして一際華やかな飾りが際立つ。
歩行者天国になっている賑やかな辺りの一角で、この光景を見付けた。通りの片隅で小型三脚の脚を伸ばし、カメラをセットしてワイヤーレリーズを繋ぎ、片膝を路面に付いて市政を低くし、ファインダーを見て画面を定める。開放シャッターで写す写真はプリントが仕上がるまで、どんな具合か、他の写真以上に予想し難いので何度か撮影を試みる。
そんなことをしていると、通行人の好奇の視線を感じる。「あの妙な男は何をしているんだ…」とでも言いた気だ。若いカップルが同じような視線を向けて来た。地元の人なのか、アメリカ辺りからの旅行者なのかは判然としない。女性の方が、少し思い切って「何をしているの?」と英語で話し掛けて来た。私はこの光景を指差し「写真を撮っている…」と英語で答えた。彼女は振り返る。「凄い!」と彼女は言った。「一寸見せて!」と彼女はファインダーを覗く。小さな人垣が出来て、人垣はこの光景に振り返る。
「You are a treasure hunter!」と微笑む彼女。「おいおまえ…」と一言小言を言いたかったような連れの男も硬かった表情が微笑みに変わった。「美しい風景は人々の財産…私はそれを探している…」と“宝探し人”を意味する“treasure hunter”を意識して答える。「よいお年を…」時節柄そう言って、彼らと人垣が立ち去るのを見送った。
こういうアングルの発見があるから、旅に出て写真を撮るのは止められない…


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